見積書の見方と判断の仕方
設計デザイナーや工務店から出された工事見積書を見て「これは正しい金額なのか?」と、疑問を持つ方も多くいらっしゃいます。そもそも見積もりの正しい見方や相場感が身に付いていないのが原因の一つのようです。見積もりの正しい見方を身に付け適正な工事価格を目指しましょう。
こんな見積もりを出す業者は気をつけろ!
時として、予算と大きく乖離した金額の見積もりが上がってくることがあります。
原因としてあげられるのは、
①「そもそも予算設定が低すぎた」
②「コンセプトが曖昧で工事内容を絞り込めていない」
③「コンセプトを無視した大幅に高額な見積もりを計上している」。
この3点に絞られると思います。①と②は自分の問題ですので早急に対応しなければなりません。
問題は③の場合です。実はこの問題、結構多く発生しています。
上がってきた見積もり金額に妥当性があり、理由をしっかり説明できるのであればまだ話し合いの余地がありますが、そうでないなら設計デザイナーや工務店の変更が賢明です。
こういった場合、施主の状況を全く考えず、自分たちの利益だけしか考えられない業者であれば付き合わないほうが良いです。大幅な予算オーバーと共にいろんな面でのトラブルを抱えることになってしまうのがオチです。
坪単価のまやかし
ではどの程度の金額ならば適正なのか。ここで、よく言われる「坪単価」について考えてみましょう。
代表的なのが、飲食店の坪単価ですが、まず坪単価の意味するところが問題となります。
工事施工だけなのか、設計料込みなのか、厨房機器は計算に入っているのか、これだけで随分価格が変わってしまいます。
さらにいうと、一般的に言われる坪単価はどの程度の広さの店舗を想定したものなのか、ということです。
一般的に東京都内で飲食店を開業しようとすると1,000万円は掛かると言われていますし実際そうです。
仮に10坪のスケルトンからの工事を想定した場合、設計・施工で1000万円、厨房機器が300万円としましょう。坪単価は130万円です。
同様に、施工内容はほとんど変わらず広さが20坪の場合は、坪単価65万円です。増えてもテーブルと椅子が増えるくらいでしょう。
ですので、いわゆる坪単価というのはまったくアテにならないのです。
みなさんが金額の事が気になるのはよく分かります。しかしWEB上で言われている「坪単価」に気を取られて数字の目測を謝るのは非常に無駄な行為なのです。
近年はオリンピック開催や人材不足も相まって、工事価格が非常に高騰しております。
ですので、工事見積もりも相応に高くなりがちです。しかも低価格にしたいと思い値段交渉をやり過ぎると「ウチでやらなくて結構」となってしまう可能性もあります。
可能な限り詳細が書いてあるもしくは説明できるか
下の表は一般的な工事の見積もりの表題です。
この後に、工事一式の「仮設工事」「軽鉄ボード工事」「左官工事」など、各項目の詳しい工事内容と金額の資料がついてきます。
また各部分の工事内容や金額について、詳しい説明と根拠ある理由があると思います。
逆にそれらの説明がしっかりされないなら、工事業者の再選定をお勧めします。
金額についても、正直、素人が見ても各工事金額が適正かどうかは判断付かない場合があると思います。
簡単に突っ込めるとしたら「諸経費」などの部分と思います。
一般的に諸経費とは「駐車場代」「交通費」「スタッフ人件費」などです。
通常10〜20%が適正価格です。それ以上高い場合、詳細な理由をしっかり聞いてみましょう。
要望に応じない、相談ができない
見積書には工事の素人である開業者が理解できない言葉や表記がたくさん出てきます。
それらの説明を受けしっかり理解し、仕様の変更や価格の相談をすることが大事です。
設計デザイナーもプロですから自分の設計にプライドを持っています。しかしお店のオーナーは自分自身です。ここは変えたいと思ったらしっかりと伝えることが大事です。曖昧にしていると後で後悔します。またこういった「相談が受け入れられない」「価格面での調整」をまったく努力しないのであれば、即座に設計デザイナーや工務店の変更を検討してください。現実的には厳しい場合が多いですが、少なくとも色々検討してくれるパートナーと付き合いたいですよね。
GENTRYコンサルティングでは、経験豊富なデザイナーと確実な施工をする工務店と提携しております。