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接客コンセプトの作り方

2017年01月11日

ターゲット設定や商品開発が終わったら、商品・サービスをお客様のところに届けなければなりません。その際、重要になるのが「接客」です。近年は、接客というとコンシェルジュなどの横文字が登場しますが、どの言葉であれ「顧客満足度の向上」を目指すという意味では同じです。

では、顧客満足度の向上を達成するためには何が必要なのか、見ていきましょう。

 

接客コンセプトの設定

まずは接客における重要事項をまとめていきましょう。その際に気を付けなければならないことがあります。

それは「顧客視点」を忘れないことです。

例えば、商品やメニュー選びの場面で、お客様にアドバイスを行うことがあると思いますが、その際に「お店の利益」を優先させてはいけません。お客様は「自分のため」に来店しているのですから。
接客コンセプトの分りやすい例をあげると、次のようになります。

 

・ターゲットが喜ぶ適切な言葉使いと行動をする

・お客様の満足を達成するために行動する

・モノやサービスを売るのではなくお客様の喜びを売る

・お客様の良きアドバイザーとなる

 

これらを具体的な接客業務に置き換えたのが、以下の一覧です。

 

・基本接客     清潔感、笑顔、不快にさせない言葉使い、挨拶の仕方など

・基礎知識     店内における基本事項(トイレの場所、命令系統など)

・商品知識     メニューの内容や付随する技術説明

・技術力      メニューを提供する能力、要望に応えられる技術力

・会話力      お客様を楽しませる話術

 

つまり、接客は次の公式で成り立つのではないでしょうか?

接客力公式
 
こうした接客の重要事項を、具体例を含めて教育マニュアルにまとめ、研修を行うと良いでしょう。また、新しいスタッフは先輩の行動を常に見ながら、自分の判断材料にしています。経営者として上司(先輩スタッフ)の行動に気を配ることも忘れないでください。

 

スタッフの雇用条件

お店の新規オープンを決めたオーナーにありがちなのが、「あの店みたいに、いつもニコニコしている接客にしたい」や「自分のお店も接客上手なスタッフがほしい」といった要望です。しかし、接客はハッキリ言ってそんなに簡単ではありません。

例えば、スターバックスでは、スタッフの教育や福利厚生に多大な時間と費用をかけています。
(研修時間だけでも80時間です!)

接客技術の向上に必要な投資を無視して、努力と責任だけをスタッフに押し付けておきながら、「いつもニコニコしてほしい」では虫が良すぎます。しっかりとした教育マニュアルを作り、丁寧に教え、十分な休息を取らせて初めて、接客技術の向上に対するスタッフの理解も得られるのではないでしょうか。

 

接客向上サイクル

 

上の図は、スタッフの接客が内部的にどの様に売上げに反映していくかを表したものです。店舗ビジネスで頭を悩ませるほとんどの人材問題は、この図に集約されると思います。
接客を良くしたいならば、まずはその最前線にいるスタッフの環境づくりを良くすることが、最も重要だということを肝に銘じましょう!

 

スタッフをファンにする!

この戦略については、ディズニーリゾートが最も有名でしょう。

ディズニーランドで働き始める際、すべてのスタッフがオリエンテーションで見るビデオ。たったそれだけで、正社員から末端のアルバイトまで、一瞬にしてディズニーの虜になってしまうそうです。
もちろん、ビデオには虜にさせるだけの仕掛けがあるわけですが、もし多大な投資をせずにこれと同じ効果を得られるとしたら、大きな力になりませんか。ではどうすれば良いのでしょうか・・・。

まず経営者本人が本気になることです。

経営者であれば、お店のことは間違いなく本気でしょう。しかし、それは売上に関することではないですか。スタッフには「プロ」としての仕事を求めるばかりで、その仕組みや教育体制、はたまた福利厚生まで考えてあげているでしょうか。

有能なスタッフほど対価を求めます。その内容は「給与」「技術習得」「やりがい」「発展性」など、人それぞれ違います。そして求める対価の度合いはとても高いのです。

 

次に大事なのは、スタッフの評価です。

人が喜ぶ心理に「承認欲求」というものがあります。これは「人に認められたい」という欲求です。例えば、全スタッフの「お誕生日会」を開くのも一つの承認行動です。

大事なのは、経営者が本気で行うこと。お誕生日会をするにしても、そのスタッフの好みや状況をしっかりと理解した上で行う。スタッフに対して、日頃の感謝をしっかりと伝え行動に表す。そして何よりも信頼してあげることです。
経営者に信頼され、安心して働けて、キャリアプランも見えていたら、そのお店で働くスタッフは間違いなく「働くのが楽しい」はず。そうです、そのときスタッフはお店のファンになったのです。

 

お客様の心理に配慮する

分かりきったことかもしれませんが、お客様はスタッフの動きを隅から隅まで見ています。この自覚があるかどうかだけでも、随分と接客に違いが出てくると思います。

大事なポイントをまとめると、次のようになります。

接客の基本

 

何よりもお客様のために行動する!

一時期、日本でも「ノーと言わない接客」が有名になりました。しかしどうでしょうか。結果はご覧の通り、「メチャメチャNo!」と言っていますよね。なぜなら、そこに経営者の本気が見えないからです。

「顧客第一主義」とよく言いますが、自社の社長と身なりの悪そうなお客様が同時に入ってきたとき、あなたならどうしますか。ほとんどの人が社長の対応を優先するのではないでしょうか。厳しいようですが、この程度なら「ノーと言わない接客」や「顧客第一主義」などとは言えません。

デパートなどに行きますと、時々お偉いさんが大勢のスタッフを連れて、売り場を「あーだこーだ」と言いながら練り歩きますが、お客様にとっては邪魔でしかありません。実際、露骨に迷惑そうな顔をするお客様もいますし、レジ渋滞を引き起こすこともあります・・・。

お客様を邪魔して売上げなんて上がる訳ないですよね。

お客様にとって必要なことは、喜んで頂けることは何なのか。そのことを突き詰めて突き詰めて、ようやく表れるスタッフの行動こそ、「究極の接客」と言えるのではないでしょうか。

 

 

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