出来る!店舗開業完全マニュアル!

メニューコンセプトの作り方

2016年12月20日

メニューやサービスを開発する際、お客様にどのような目的や役割を果たすのかが、とても重要になります。
闇雲に開発していては、収益構造に悪い影響を与えるだけでなく、店舗のコンセプトそのものが揺らぐことにもなりかねません。
そこで、しっかりとしたメニュー開発の進め方をお伝え致します。

 

目的の選択

メニュー開発を行う際、おそらくお店の核となるものはほぼ決まっていることでしょう。メインのメニューやサービスも踏まえて、考えなくてはいけないのがその「目的」です。

大きく分けると次のようになります。

メニュー開発の目的

 

USP(特徴・強み・メリット)

商品を開発する際、「3C分析(Customer=市場・顧客、Competitor=競合会社、Company=自社)」や「4P分析(Product=製品、Price=価格、Promotion=宣伝、Place=立地、流通)」といった手法がよく出てきますが、これらは製造業や大手企業向けの考え方なので、店舗事業者は少し変化を持たせたほうが良いと思います。

店舗を開業する時点で、ターゲットやそこから考えられる価格帯はすでに決まっているはずです。さらに業態も決まっていますので、お客様とお店の考え方のギャップはある程度絞られています。
だからこそ、商品の目的を達成しつつ、特徴を持った提案ができるかが重要になるのです。
そこで登場するのがUSP (Unique Selling Proposition)という概念です。
これは1940年代の米国で、伝説の広告マンであるロッサー・リーブスによって提唱された考え方です。

usp

彼の考え方を簡単に説明すると、お客様のために「(U)独自」の「(S)ウリ」を「(P)提案」しなければならないということです。

例)

U —– 他店が絶対行わないレベルの

S —– 低価格と高品質で

P —– 胃袋を刺激することを約束する!

 

商品の価格と構成

価格については、すでにターゲットが決定していますので、おおよその「相場感」があると思います。メニューやサービスにはそれぞれの原価がありますが、すべて横並びで同じ原価率を構成するのは、感心できません。なぜなら、価格や品質にメリハリがなくなり、お客様にとっての「予算感」もわからなくなるからです。原価率とは「最終的」に目標値になればよいのです。
基本的には、お店のコンセプトを明確に意識した看板商品を、全体の30%ほどの構成比にし、季節商品やプレミアム商品を15%ずつ、お買い得商品を30%程度、低価格商品を10%程度の構成にします。
大事なのはターゲットに応じた「価格の山を」をしっかり打ち出すことです。

価格の山

上のグラフでは、価格の山が600円台と900円台にあり、アイテム数が多いことがわかります。
ということは、このメニュー構成から、「大体一品1,000円以下のお店」という印象が持たれることでしょう。
開店後は、実際の販売数を検証し、利益率もしくは利益額とのクロスABC分析を行いながら、常にメニューをブラッシュアップしてください。

※クロスABC分析とは、下の図にあるように、異なる2つの視点から各商品にABCのランク付けを行い、2つのランクの該当する欄に分類して分析する手法です。

一般的に商品構成比の上位70%をA群に、70〜90%をB群に、90〜100%をC群にランク分けします。
これによって商品の販売状況の詳細がより明確になり、「売れ筋・死に筋」の判断ができるようになります。縦軸・横軸の基準には、利益率や利益額・販売数量などを当てはめていくと良いでしょう。

クロスABC分析

コンサルタントはよく「高品質の商品ではなく、売れる商品を作りましょう」と言いますが、半分当たりで半分間違いではないでしょうか?
もちろん売れないといけませんが、そもそも「売る」を目的とした場合、肝心のお客様視点を忘れがちになりませんか。誤解を恐れずに言うと、大事なのはあくまで「お客様に十分な価値を提供できるのか」なのです。

そのためには、店舗コンセプトの再確認が必ず必要になります。

店舗コンセプトの再確認を怠り、流行りに乗った看板メニューの開発ばかり行うなどは、一番コケやすいパターンです。
最近ですと良い例が「熟成肉」ですね。これは技術がなくては、安易にやろうとしてもできません。冷蔵庫に「放置」するのは熟成ではありません。
実際、看板メニューというものは、一朝一夕でできるものではありません。
蓄積された技術やサービススキルなどの土台があって、初めて可能になるのです。

 

レシピ(作業工程)表の作成

レシピ表で大事なのは、「誰が見てもできる」ことです。一つ一つの作業手順や完成時の写真、注意点などをしっかり用意してください。それと忘れがちですが、商品の目的も必ず書いてください。当然、各素材の原価額や仕入先なども忘れずに。

メニューコンセプト表のDOWN LOAD は「こちら」

 

提供方法

開発したメニューやサービスを提供する際、どういったことを考えなければならないのでしょうか?

飲食店で提供される料理メニューを例に考えてみます。

・盛り付けのアレンジ     見た目の華やかさを提供するためエディブルフラワーを散らす。

・器の選定          ガラスの皿を用いて清涼感を演出する。

・演出の提供         仕上げをお客様の前で行う(ソースを掛けるなど)。

・オペレーションの確認    混乱せず最もわかりやすい作業手順を見つける。

※オペレーションに関しては、美容業が最も複雑かもしれません。

このように、サービスの説明から提供後までを、ストーリー建てて行う必要があります。もちろんサービス提供に必要となるシャンプーなどの材料や什器・備品の配置についても、自然な流れでできるよう、検討しておかなければなりません。
これらの要素をしっかり構築して初めて、お客様に提案できる商品のでき上がりとなります。

しつこいようですが、闇雲にメニューを増やしてもお客様は増えません。

そこに、確固たるコンセプトがあり、蓄積されたノウハウがなければ、お客様は「ふ〜ん」という程度の感想しか持ちません。常日頃の向上心が商品には現れるのです。

 

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