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事業計画書には何を書くの?

2016年10月07日

店舗を開業する際に必要になる事業計画書。何を書かなければいけないのか、順を追って説明していきます。

事業の実現性

事業計画書を受け取る融資担当者や出資者にとっての最大の関心事は、その事業が確実に計画通りに進むかどうかです。融資担当者なら、計画通り進んだ上で、借入金を返せるか、利害関係者にとっては、計画通り進んだ事業が、自分たちのメリットになるかどうかに関心が集中します。
ということは、実現不可能な売上計画や、「夢」ばかりを熱く語って現実を見ようとしない事業計画書は、見向きもされません。では、「現実的」で「根拠」のある事業計画書にするには、何を書かなければいけないのでしょうか。

一通り挙げてみると、

計画内容

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやはや、あまりの多さに正直、頭が痛くなりますね。数字が苦手な方や、作文が嫌いな方は、これだけで目を背けたくなると思います。しかも、各項目はさらに細分化されます。例えば、人材計画書の中は、「採用計画」「人件費設定表」「キャリアプランニング」などに分かれていきます。では、これだけの書類をすべて用意しなければならないのかと言いますと、それは事業内容によります。事業規模が小さければ、おのずと事業計画書も簡素なものになるはずです。

そこで、おそらく皆さんが計画される事業規模で、一番多い15坪程度の店舗開業を行う場合に、金融機関などへ提出する必要な書類について説明していきましょう。

 

事業理念とビジョンと行動指針

「何を達成したいの?」でも説明しましたが、最初に事業を行う「理念(目的)」と「ビジョン(目標)」を決める必要があります。何の目的でどこに向かっていくかを明らかにしなければなりません。通常、「理念(目的)」は言葉で記され、「ビジョン(目標)」は数字で示されます。

具体例を上げたほうが解りやすいですね。例えば、飲食店の激戦区である東京・新橋に、15坪のイタリアンを開業する場合です。

【理念】

「サラリーマンの胃袋を刺激し続けるお店」

新橋では多くの飲食店が、原価コストの高さや人材不足に苦しんでいます。その結果、価格は高止まりし、サービスの質も低下するなど、お客様の不利益に直結しています。そこで私たちは、独自ルートによる新鮮で安価な食材の調達と、高度な調理技術力を武器にし、また、的確に構築されたキャリアプランニングを提供することで人材教育を充実させ、労働環境を整えます。
安価な仕入れと、優秀な人材が活躍できる労働環境を整えることで、ボリューミーかつ繊細な料理と、脅威の低価格設定で地域のサラリーマンの胃袋を刺激し続けます。お客様の満足を追い求めながら、従業員の労働環境も改善し続けることで、地域社会に貢献してまいります。

【ビジョン】

「対象地域での来店客数No.1」「3年後の年商目標60,000千円」

どうでしょうか?
理念である「サラリーマンの胃袋を刺激し続けるお店」を読むと、低価格戦略と人材難に対応した戦略があるとわかります。そしてその戦略により実現した収益力で、社会貢献することを宣言しています。
ビジョンでの「対地域飲食店入客数No.1」「3年後目標年商60,000千円」では、具体的な数字目標が掲げられています。

そして「理念」や「ビジョン」をより具体的にするための【行動指針】を作ります。

「私たちはお客様に刺激と興奮を提供することを約束します」
「私たちはお客様の刺激的な体験を追求します」
「私たちは現状に満足することなく、必要な改善はその日に行います」

これで、より具体的な目的をお客様に提供し、従業員の進む方向を示すことができます。

コンセプト

お店を始めるときやプロジェクトを企画するときに、必ずと言っていいほど「コンセプトは何?」と聞かれます。要するに、どこに事業の的を絞っているのかを聞かれているわけです。
一口にコンセプトと言っても、非常に多岐に渡ります。そもそも何についてのコンセプトか、明確にしなければなりません。まずは必要な物を挙げていきましょう。

・事業コンセプト
・ターゲットコンセプト
・内装コンセプト
・メニューコンセプト
・接客コンセプト
・集客コンセプト

これだけは最低限必要なものになります。
えぇ!こんなに!?と思われるかもしれませんが、このどれか一つでも欠けると事業計画としては非常に不安定になります。
なぜなら、どんな事業にするか分からなければ、狙うターゲットが特定できませんし、ターゲットが分からなければ、その客層に合った店舗の内装やメニューが決定できません。
このように確立すべき「考え方」をおろそかにしてしまうと、事業の軸がぶれてしまいます。実際に、そのようなことで経営危機に陥るお店が、数多く見受けられます。

 

コンセプト階層

 

上の図を見てください。土台となる事業理念の確立がいかに重要か理解できると思います。

途中のどこかをおろそかにした場合、それより先の上の部分が確立できず、事業はガラガラと音を立てて崩れ始めます。場合によっては優れた収益性を持った事業プランを実行したあとに、事業理念やビジョンを確立する方法も可能ですが、この場合、本当に優れた収益性でなくては組織が持たないでしょう。やはり基本は、土台からしっかり積み上げていくことです。

 

おそらく、お店を開業しようと準備している皆さんは、上の図の「メニュー商品コンセプト」や「接客コンセプト」の部分は、非常に優秀なものを持っていると思います。しかし、お店を開業するということは、短期はもちろんですが、中長期にわたって継続できる仕組みを考えなければなりません。そこにはもっとも大切な一つである「収益」も含まれています。

次回は、絶対に避けて通れない「収支計画書」について説明していきます。

 


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